実は共産党体制批判として作った?

実は共産党体制批判として作った?

実は共産党体制批判として作った?

2024/02/22
【ご注意】このブログはVIDEO-GOISのスタッフに向けて、クラシック音楽に親しんでもらい、作品のスキルアップを目指してもらうことを目的として開始されました。そのストックを公開しているもので、表現や内容、考え方について専門的なものではございませんのであらかじめご了承ください。


さて、ショスタコーヴィチの交響曲第5番の話に戻りますが、この曲の大成功のおかげで、ショスタコーヴィチの名誉は見事回復することになるんだよね。旧ソ連当局も大衆も、ソ連の勝利!共産主義バンザイの感じでこの曲を受け止めているんだけど、実はこの曲にはショスタコーヴィチの隠されたメッセージがあると言われているんだよ。

死後に出版された暴露本『ショスタコーヴィチの証言』によって、「5番は強制された歓喜」と発言していたことなどが発表される。つまり、ソビエト連邦からのお墨付きである作曲家でありながら、実は音楽によって暗に「物言わぬ反逆」を行っていたとも言えます。

でもこの本は現在では偽書とされているんだ。この「ショスタコーヴィチの証言」については別の機会に解説するね。まあ、こんな本があるんだという認識で。

で、その具体的な内容は第4楽章に使われた旋律にあります。
ショスタコーヴィチは交響曲第5番を作曲していた同時期に《プーシキンの詩による四つの歌曲》を作曲していて、その歌曲のモチーフがフィナーレ冒頭と展開部最後のハープに各々暗号のように埋め込まれているんだよ。

プーシキンというのはショスタコーヴィッチ同様に時の権力者の圧制に苦しんだ作家で、彼の歌詞は次の通り。

「野蛮人の画家がおぼつかない筆さばきで天才の絵を塗りつぶす。法則のない勝手な図形をその上にあてどもなく描いている。」<中略>「天才の創造物は再びわれわれの前に以前の美しさを取り戻す。かくて苦しみぬいた私の魂から数々の迷いが消えてゆき初めの頃の清らかな日々の幻影が心のうちに湧きあがる」

要するに、今は押さえつけられているけど、あとで必ず復活するよ!というメッセージを入れ込んでいるんだ。
一見して社会主義リアリズムに根ざしたソ連お抱えの作曲家でありながら、その実、二重言語を駆使して体制批判を行っていたという、ある種のヒーロー像を生むことになったんだよ。
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